盲ろう者として生きて(上)

                ◇全盲ろう教授・福島智氏の研究書。
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この本には、サブタイトルが付いています。
それは、「指点字によるコミュ二ケーションの復活と再生」というもの。
内容は、当事者の福島氏の体験から、健常者から盲、さらに盲ろう(聞くことも見ることもできない状態)へと障害が深まるプロセスの中での心理、また、盲ろう者として、指点字を活用し、人生を再構築する内容が克明に描かれています。
では、盲ろうという状態とは、いかなる状態なのでしょうか。
第9章と第11章からインタビューの内容を引用します。(一部文章変更)
(全盲ろうになった初期のころの状態)
-----------------------
ビンの底に沈んでいるような感じである。
自分が、大きなビンの中、あるいは壺(つぼ)のようなものに入っていて、話しかけようとする人が壺の口のところに現れて、壺の中をのぞいて私と話をする。
アラジンの魔法のランプではなく、「魔法の壺」。
壺の底に私は閉じ込められていて、ときどきふたが開けられて、外に顔を出せるけれども、またすぐふたを閉められて、閉じ込められる。(中略)
私の状況を理解できる人間は、この世の中に誰もいないらしいということが分かって、落ち込んでしまった。(中略)
言葉で何か言ってどうこうできることでもないし、また、みんなが悪いわけでもない。
私がみんなの立場になったとしても、似たようなことになるだろうという、あきらめにも似た絶望に包まれていた。(中略)
ずーっと、壺に閉じ込められているのも、勿論、しんどいけれど、ずっと閉じ込められていれば、それはそれで開き直りというか、あきらめがつくわけですが、ときどき「光」の下に出るだけに、「暗闇」がよけいにしんどいわけです。(中略)
見えなくて、同時に聞こえないということは、主観的には、自分がこの地上から消えてしまって、まるで地球の夜の側の、真っ暗な宇宙空間に連れて行かれたような感覚に襲われる状態でした。何も見えず、何も聞こえない、いつまでも続く静かな夜の世界でした。
それは言葉で表現できないような孤独と絶望の世界でした。
真空の中で、私は半ば死にかけている自分の精神を感じ、いいしれぬ恐怖感に襲われました。(中略)
私が最も辛かったのは、見えない・聞こえないということ自体よりも、周囲の他者とのコミュニケーションができなくなってしまったということです。
私から声で話すことはできました。しかし、相手の返事が聞こえず、表情も見えない私は、会話をしようという意欲そのものがなくなっていきました。(中略)
強く実感したことは、人間には、空気や水や食べ物と同じように、コミュニケーションが生きる上で不可欠なものということでした。
-----------------------
福島氏は、全盲ろうになった当初、このように悶々と悩みました。
「今後、自分はどんな人生を歩むんだろう」と苦しみました。
自身が、宇宙空間の一角にいるような感覚だとも述べています。
皆と教室にいても、音もなく、光もない彼は、全くの孤独な状態でした。
しかし、そこに指点字という光と音が加わり、周囲がその支援をすることで、福島氏は壺の中の世界から現実世界に踊り出て活躍を始めました。
その人生の転換を可能にしたのは、指点字でした。
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by sokanomori | 2013-11-03 14:32 | 良書のご案内 | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2013-11-03 16:39 x
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Commented by sokanomori at 2013-11-03 18:30
16:39さん、こんばんわ。
なるほど、そうなんでしょうね。
目が見えて、耳が聞こえても‥
心の病も大変ですね。
皆、大きな壁がある。
その壁、乗り越えることが使命でしょう。
宿業、即、使命ですから。^^
★菊川広幸


創価学会員としての日常生活を語ります。^^


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